Research
研究テーマ
IoT・ネットワークセキュリティ
IoTデバイスの急増に伴うサイバーセキュリティの脅威に対し,機械学習やグラフニューラルネットワーク,信頼実行環境などを用いて,通信トラフィック解析,高度な侵入検知,プライバシー保護のための難読化などを研究しています.
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QoE指向マルチメディア通信制御
動画配信やオンラインゲーム、クラウドゲーミングなどの通信サービスにおいて,帯域や遅延といったネットワークの物理指標だけでなく,ユーザが主観的に感じる体験品質であるQoEや動画への興味度を最大化するための,動的リソース割当や自動推定技術を研究しています.
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UAV・アドホックネットワークと自律移動制御
災害救助や広域監視において,ドローンであるUAVや飛行アドホックネットワークであるFANETを活用し,複数の自律移動ロボットが相互に連携しながら効率的に探索・通信を行うためのアルゴリズムや通信モデルを研究しています.
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エッジ・フォグ計算基盤と次世代ネットワーク制御
モバイルエッジ・フォグコンピューティングにおける最適なタスク処理やゲートウェイ配置,無線仮想ネットワーク制御,時系列AIを用いたトラフィック補完,屋内測位技術など,次世代の通信・計算インフラの効率化を研究しています.
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知的システムと機械学習応用
麻雀などの不完全情報ゲームにおける対戦相手の行動予測や状態推定,生成AIを用いたネットワーク試験データの自動生成など,最先端の深層学習モデルであるTransformerなどを複雑な意思決定システムへ応用する研究を行っています.
詳細を見る →Core Technologies
コア技術解説
アドホック・Opportunistic Routing
私たちが普段使っているスマートフォンは携帯電話の基地局などの通信インフラを介して接続しますが、アドホック通信はそれらインフラが存在しない環境において、端末同士がバケツリレーのようにデータを中継していく方式です。当研究室では、事前に決められた固定経路を通すのではなく、無線の電波が四方に広がる性質を活かし、その都度受信できた最適な端末を選んでデータを中継していくOpportunistic Routing(OR)を研究しています。
通常のアドホック通信では、特定のバケツリレー経路を決めてから送りますが、端末の移動や障害物によって経路が一度でも途切れるとデータの再送や経路の再構築が必要となり、大きな遅延が発生します。一方、ORでは、電波が届いた複数の端末がそれぞれ独自にデータをさらに転送しようとするため、同じデータが重複して送信されてしまい、通信回線が混雑するのをいかに防ぐかという自律的な転送調整が課題となります。
送信されたデータを受信できた周辺ノードの中から、目的地への地理的距離や端末のバッテリー残量などを考慮し、最も適した中継端末を遅延なく決定する調整制御アルゴリズムを研究しています。また、端末間の接続が長期間にわたって途絶えるような極限環境においては、データを一時的に端末のストレージへ蓄積し、その端末が移動して宛先の近くまでデータを物理的に運ぶDTN(Delay Tolerant Network)技術を融合させ、障害に強い自律通信を確立しています。
QoE制御
動画ストリーミングやオンラインゲームにおいて、通信速度やデータの遅延時間といった回線そのものの物理的な性能を示すQoS(Quality of Service)の向上だけでなく、サービス利用時にユーザ自身が主観的に感じる満足度や快適性であるQoE(Quality of Experience)を定量化し、これを直接向上させるための次世代の通信制御技術です。
人間が感じる満足度は、通信速度を上げれば上げるほど比例して高まるわけではなく、ある程度まで品質が良くなると違いが分からなくなる限界収穫逓減の法則に従います。また、動画のシーンの動きの激しさやゲームの対戦状況、さらにはユーザ自身の感覚の違いによっても主観評価は複雑に変化するため、全員に一律のリソース配分を行うだけでは全体の満足度を最大化できない点が課題です。
ウェアラブルセンサーや視線追跡を用いてユーザの脳波や視線の動きを解析し、ユーザが「今どのシーンに強く関心を持っているか」や「ストレスを感じているか」を検知して優先的に通信帯域を配分するシステムを研究しています。さらに、オンラインの対戦ゲームにおいては、プレイヤー同士が接近して戦闘が開始される確率などのゲーム内のメタデータをリアルタイムで解析し、遅延を最小限に抑えるように制御するコンテキスト認識型のQoE制御モデルを開発しています。
UAV自律制御・ネットワーク
地震被災地や山岳遭難現場など、人が立ち入ることが困難な危険エリアにおいて、複数のドローンなどのUAV(Unmanned Aerial Vehicle)が相互に連携しながら自律的に飛行経路を計画し、情報収集のための自律的な一時的通信ネットワークであるFANET(Flying Ad-hoc Network)を構築・維持する技術です。
ドローンは搭載バッテリーの制限によって飛行可能時間が30分程度と短く、カメラの視野にも限界があります。被災者の生存率に直結する初期のタイムリミット内に、広大な捜索範囲を網羅することと、UAV同士が近づきすぎて衝突するのを避けつつ、互いの通信が途切れない距離を維持して飛行経路を制御することは、トレードオフの強い困難な課題です。
昆虫の群れ行動から着想を得て衝突を避けつつ集団で移動するアルゴリズムや、ゲーム理論を用いてドローン同士が担当エリアを交渉・役割分担する交渉プロトコルを開発し、限られたリソースで効率よく被災地を網羅する経路探索モデルを実証しています。また、地上センサーネットワークから効率的にデータを回収するためのドローン巡回経路制御や、飛行中のドローンへ自動給電する無線充電技術の適正化なども研究しています。
IoT・ネットワークセキュリティ
スマート家電や環境監視センサーなど、あらゆるモノが接続されるIoT社会において、それらIoT機器を悪意あるソフトウェアの感染や乗っ取り、また情報の流出から防御し、安全なインターネット基盤を構築するための技術です。
多くのIoT機器は非常に安価に作られているため、CPUの処理能力やメモリ容量が極めて低く、パソコンのような高度な暗号処理やリアルタイムのセキュリティ監視ソフトを直接動作させることができません。さらに、既知の攻撃パターンだけを防ぐ従来の監視手法では、防御の隙を突く未知のゼロデイ攻撃や、多数の端末がゆっくりと協調して動作する巧妙な乗っ取りボットネットを見分けることが非常に困難です。
通信トラフィックの端末間の関係性をグラフ構造で表現し、トポロジー情報と時系列トラフィック特徴を学習するGNN(Graph Neural Network)を用いた侵入検知手法を研究しています。さらに、対象のデバイスに負荷をかけずに能動的信号を送って応答フィールドのパターンから異常を検知するアクティブプロービング技術、プロセッサ内に隔離された安全な領域であるTEE(Trusted Execution Environment)を応用したシステム監査ログの改ざん防止技術、プライバシー保護のための連合学習を用いたゼロデイ攻撃検知などを確立しています。