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知的システムと機械学習応用

ゲームAI 不完全情報ゲーム(麻雀) Transformer 待ち牌予測 生成AI データ拡張(CTGAN)
知的システムと機械学習応用

背景と課題

近年,ディープラーニング(深層学習)技術は急速な進化を遂げ,画像認識や自然言語処理の枠を超えて,現実世界の複雑な意思決定や予測・シミュレーションの領域へと応用範囲を広げています.

特に,チェスや将棋のようなすべての情報が公開されている完全情報ゲームと異なり,麻雀やポーカーのように相手の手札や山札などの重要情報が隠されている不完全情報ゲームでは,不確実性や相手の心理、そして文脈を踏まえた高度な意思決定モデルが必要となります.また,ネットワークのテスト検証などにおいて,実データのプライバシーを守りつつ,同じ統計的特性を持つ高品質な検証用データを確保する生成AIの活用も重要視されています.

当研究室のアプローチ

当研究室では,Transformerや敵対的生成ネットワークであるGANといった最先端のAIアーキテクチャを,ゲームAIやデータの高精度シミュレーションなどの知的システムへ応用する研究に取り組んでいます.

1. 不完全情報ゲームである麻雀におけるTransformerを用いた待ち牌予測

麻雀において,過去の打牌履歴である捨て牌の順序や、他プレイヤーの副露、すなわちポンやチーなどの鳴き行為などの時系列コンテキスト情報を評価し,対戦相手がアガるための待ち牌の確率分布を動的に予測するAIモデルを研究しています. 自然言語処理で実績のある Transformer Encoder をゲーム状態の時系列データに入力し,ゲームの流れや相手の挙動といった文脈を反映させた高精度な推定を行い,従来のヒューリスティック手法や頻度ベースの手法を超える性能を実証しています.この技術は,不完全情報下でのAIの意思決定や安全性評価,さらに車載アドホックネットワークであるVANET環境など複雑な動的環境におけるコンテキスト解析への応用が期待されます.

2. Tabular GANであるCTGANを用いた高精度ネットワーク疑似データ生成

セキュリティやネットワークのシミュレーションにおいて,実際の通信トラフィックデータはプライバシーの問題から外部への共有が制限されることが多々あります. そこで,表形式データの生成に特化した生成モデルである CTGANなどを応用し,実際のネットワークトラフィックの統計的特徴を再現したダミーのトラフィックデータを自動生成する研究を行っています.これにより,プライバシー侵害のリスクなしに,実システムに近い環境でのネットワークテストや機械学習モデルの訓練が可能になります.この研究は,攻撃クラスデータの拡張により,侵入検知システムであるIDSの検出精度を大幅に向上させることにも成功しています.