Information Distribution Technologies

無線マルチホップネットワーク技術を利用した情報配信

本研究室では,無線マルチホップネットワーク技術の応用として,自律分散的な情報配信を行う技術の検討を行っています.現在実施している検討では,主にGeo FencingFloating Contentsと呼ばれる方式を中心に研究を行っています.

Geo Fencingとは,店舗やランドマーク等の特定の場所の周囲に仮想的な”フェンス”を設置し,そのフェンス内にいる端末や進入しようとしている端末に対して,様々な情報配信サービスを行う方式です.Geo Fencingは既にiOSやAndroidなどのスマートフォン用OSに実装されており,API経由で簡単にサービスを受けることが可能になっています.

一方,端末のフェンス内への進入検知や情報配信には従来のサーバ/クライアント方式の通信が使われるため,フェンス数の増加に従って通信/処理負荷が増大することや,即応性の高い情報配信などには不向きであるという特徴もあります.そこで,フェンス内に存在する端末を利用したMANET/DTN通信によってサーバからの情報配信を廃した仕組みを研究しています.本研究室で考案した方式では,情報の保持を行うMANET部分と進入端末に対して配信を行うDTN部分を同時にフェンス内に構築することで,情報の長寿命化と入手までの遅延低減を実現しています.

Floating Contentsを用いた方式では,Geo Fencingによる情報配信とほぼ同様の仕組みを用いて情報配信を行っています.Floating Contentsとは,その名の通り,配信情報(Contents)をある領域に浮遊(Floating)させることで,特定の位置に紐付いた情報配信を行っています.この技術は,交通情報のように一依存性が高く,継続性がある程度求められる情報に対して有効であると考えられているため,自動車の移動シミュレータであるSUMO(Simulation of Urban MObility)を用いた現実に近い移動モデルでの検討を行っています.