無線マルチホップネットワークとは

無線マルチホップネットワークとは,データを様々な無線通信メディアを利用して複数の中継装置を経由させて宛先まで転送するネットワーク形態の総称です.無線通信を用いること,複数(multi)の中継装置を経由(hop)するネットワークであれば,基本的に無線マルチホップネットワークという枠組みで考えることができますが,インターネット等の一般的なネットワークとの最大の相違点は,ネットワークを構成する端末の大部分が同等な性能・機能を有する端末(peer)で構成されていることです.インターネット等ではルータやスイッチなどその役割に応じた端末を適宜配置するのに対し,無線マルチホップネットワークでは送信元・宛先端末,中継端末が同等な性能・機能を有し,その時々の状況に応じて役割が変化していきます.そのため,無線マルチホップネットワークは,大きな枠組みで考えるとP2P(Peer to Peer)通信の一種とも考えることができます.

当研究室では,無線マルチホップネットワークの中でも,無線アドホックネットワークに着目し,様々な通信プロトコルの研究を行っています.無線アドホックネットワークとは,無線マルチホップネットワークの中でも”アドホック”なネットワーク構築を行うネットワーク形態です.”アドホック(Ad Hoc)”とはラテン語に由来する言葉で,”一時的な”,”その場限りの”などの意味をもつ言葉です.そのため,無線アドホックネットワークは,ユーザが持つノートPCやスマートフォン等の無線通信端末のみで特定の目的のために一時的に自律分散的に構築されるネットワークを指します.このようなネットワーク形態は下図に示すように更に細かく分類することができ,当研究室ではそれぞれの通信特性に応じた通信プロトコルの研究を行っています.